二十歳の悩み

成人式の数ヶ月前から、デパートの最上階にある和食レストランの厨房で、皿洗いのバイトをしていた。
皿洗いが暇なときは、一斗缶の中に氷づけされたブラックタイガーの皮むきをしたり、厨房内の清掃もした。
えびのしぽが指に刺さり雑菌が入ってかゆくなり、寝ているときも無意識にボリボリと掻き、指がグローブのように腫れ、それ以来えびが苦手になった。


そこに料理人として就職して働いている同い年の人がいた。
そこでは、一番若く下っ端の新人で、彼の指は、たくさんやけどの跡があり、ばんそうこうがいっぱい巻かれていた。

彼はすでに結婚をしていて、奥さんは妊娠をしていて、もうすぐ生まれるとのこと。


私は、恥ずかしかった。


彼は結婚をして立派に働いている。
なのに自分は、大学へは行かず、夢も希望もなく、ただひたすらバイトをするだけだ。


役所から成人式の案内の通知が来たが、成人式には行かず、そこでずっとバイトをしていた。



その頃、自分は将来どんな仕事に就けるのだろうと、不安だった記憶がある。