オシムの伝説
ユーゴスラビアサッカー史上のベストプレイヤーは多くの人の場合、デヤン・サビチェビッチだろう。
オシムとサビチェビッチの関係は必ずしも良好でなかった。
才能豊かなサビチェビッチをベンチに座らせているだけだったので彼は心底激怒していた。
オシムに対して悪意のある言葉も聞かれた。
サビチェビッチはその後スーパースターとなり、1994年にACミランでFCバルセロナを4-0で下し、チャンピオンズカップを勝ち取った。
試合終了のホイッスルが鳴った後、サビチェビッチが最初に向かったのは観客席にいた当時20歳の若者。
サビチェビッチはユニフォームを脱ぎ、「お前にプレゼントだ」と彼に渡した。
サッカー選手として最高の瞬間にサビチェビッチはこの若者に語った。
「お前の親父なしには、俺は今ここに立っていない。
お前の親父は誰よりも俺に多くの事を教えてくれた。
その事は今になってようやく分かったんだけどな。」
(イビチャ・オシムの真実 ゲラルト・エンツィガー&トム・ホーファー著)